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2009年3月25日 (水)

生駒山地を貫く3本の鉄道トンネル

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大阪府と奈良県の府県境には、南北約30km・東西約5kmの生駒山地(主峰は標高642mの生駒山)が立ちはだかり、かつては、府県境を南北に走る狭長なこの山地が大阪~奈良間の鉄道建設を阻んでいました。実際、JRの片町線と関西本線は、どちらもこの山地を大きく迂回するように北と南に分かれて路線が建設されています。
しかし近鉄は、大阪と奈良を結ぶ短絡線として、この生駒山地を貫くトンネルを3本も造りました(近鉄奈良線の旧生駒トンネル、同線の新生駒トンネル、近鉄けいはんな線の生駒トンネル)。

その3本のうち、まず最初に造られたのが、近鉄の前身である大阪電気軌道が明治44年に着工し大正3年に完成させた「旧生駒トンネル」(全長約3.4km)で、完成当時は中央本線の笹子トンネル(全長約4.7km)に次ぐ日本第2位の長さを誇り、また、日本初の標準軌複線トンネルでもありました。
しかし、このトンネルを建設した大阪電気軌道はその名の通り「鉄道」ではなく「軌道」からスタートした会社だった事もあり、大阪と奈良を結ぶ重要な幹線のトンネルでありながら、旧生駒トンネルの断面はかなり小さなもので、戦後、大型車両の通過に対応していなかったこのトンネルの存在が、近鉄の車両大型化のネックとなっていました。

そのため、旧生駒トンネルの南側約55mに同トンネルと並行する、大型車両の通過に対応した「新生駒トンネル」(全長約3.5km)が建設される事になり、旧生駒トンネルは昭和39年7月、完成した新生駒トンネルにバトンを譲って廃止されました。
この新生駒トンネルが、生駒山地を貫く2本目のトンネルで、現在も近鉄奈良線のトンネルとして、大阪と奈良を結ぶ大動脈として使われており、今月20日からは、阪神なんば線の開業により神戸と奈良を結ぶ直通列車も走るようになっています。

そして、生駒山地を貫く3本目のトンネルが、昭和61年に開業した、近鉄けいはんな線(当時は東大阪線)の「生駒トンネル」(全長約4.7km)で、このトンネルの東側(生駒側)坑門とその付近の一部区間は、昭和39年に廃止された旧生駒トンネルの一部が改修されて流用されました。
以上が、生駒山地を貫く3本の鉄道トンネルの概要です。

下の写真は、先週2泊3日の日程で関西を旅行した際に、生駒駅ホームの西端部から撮影した、奈良線の新生駒トンネル(電車が吸い込まれている左側)と、近鉄けいはんな線の生駒トンネル(右側)の東側坑門です。
生駒トンネルと新生駒トネンルの西側坑門はそれぞれ離れた場所に設けられていますが、両トンネルの東側坑門はこのように隣り合って設けられており、近鉄けいはんな線の東側坑門の方は、前述のように、昭和39年に廃止された旧生駒トンネルの東側坑門が流用されています。

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そして下の写真は、近鉄けいはんな線を走る生駒行きの大阪市営地下鉄中央線の電車(先頭車)から私が撮影した、生駒トンネルの西側坑門です。
上の写真を撮影した生駒駅は、このトンネルを抜けたすぐの場所にあります。

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なお、廃止された旧生駒トンネルの西側坑門のすぐ近くには変電所があり、また旧トンネル内には高電圧の通る電力設備も設置されている事などから、旧トンネル内には今も近鉄の職員が出入りする事があり、そのため、旧トンネルの西側坑道と、近鉄けいはんな線に流用されなかった旧トンネル内一部の現存区間は現在も近鉄によって管理されており、廃止後40年以上経過した今も旧生駒トンネルの西側坑門は朽ちる事なく往時の姿をほぼそのまま留めています。
また、旧生駒トンネル西側坑門のすぐ側には、トンネルの廃止と同時に石切駅に統合される形で廃止された孔舎衛坂駅の駅跡地も残っていますが、この駅跡も近鉄により管理されており、プラットホーム跡には白線もまだ残っています。

ちなみに、旧生駒トンネルでは大正2年、建設工事中に起きた落盤事故で20名が亡くなっており、また、昭和21年から翌22年にかけては同トンネル内で3度も火災や列車事故が発生し、昭和22年4月の列車火災事故では28名も亡くなっている事から、関西では、旧生駒トンネルは心霊スポットとしても広く知られています。

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