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2009年1月29日 (木)

関門鉄道トンネル

関門海峡を横断して本州(山口県下関市)と九州(福岡県北九州市)を陸路で結ぶルートとしては、昨年5月19日の記事で紹介させて頂いた「関門国道トンネル」や、昨年4月11日の記事で紹介させて頂いた「関門人道トンネル」などがありますが、実際にはこの2本以外にも、まだ下関と北九州を陸路で連絡しているルートがあります。
在来線の鉄道が走る、山陽本線の一部である「関門鉄道トンネル」と、山陽新幹線の「新関門トンネル」、そして、高速道路の一部として、関門海峡を跨いで建設された全長約1.7kmの吊橋「関門橋」です。
今日は、これらの複数のルートのうち、「関門鉄道トンネル」(下図参照)を紹介させて頂きます。

Photo

関門鉄道トンネルは、明治40年に、初代鉄道院総裁であった後藤新平が本州と九州を鉄道橋で繋ぐ事を発案したのがきっかけとなって、建設が具体的に検討されるようになりました。
その後、軍事的にも経済的にも有利な方法として、橋ではなくトンネルでの連絡路の建設が決定し、大正8年には初めてボーリングによる地質調査も行われました。しかし、関東大震災による影響などで暫くの間は計画が凍結され、実際にトンネルの建設が始まったのは、後藤新平の発案から約30年も経った昭和11年9月でした。

昭和14年4月に、何度も切羽が崩壊して大量の異常出水に見舞われるなどしながらも、まず先進導坑(地質調査・試作・工事の促進等を兼ねて本坑より先に建設される小さなトンネルで、開通後は本坑の作業坑としても活用されます)が貫通し、この先進導坑の施工で得られた貴重なデータを基に本坑の施工方法が何度も論議され、結局本坑は、下関側からは通常の発破工法である山岳トンネル工法で掘られたのですが、北九州側では、その極端な地山条件の悪さから山岳トンネル工法は無理と判断され、北九州側からは当時としては最先端技術であったシールド工法が日本で初めて採用されました。
また、海峡中央部は、先進導坑の掘削経験から地質が不良で湧水が多い事も分かっていたため、先進導坑から本坑にセメントを注入しながらトンネルの周辺地山を固めて掘削されました。

このような、多大な苦労や危険を経て昭和16年7月に、下り線の本坑(3,614m)が貫通し、そして、既に戦争が本格的に始まっていた昭和17年7月に、世界初の鉄道海底トンネルとして、下り線に一番列車が走って営業運転を開始しました。
山頂にある神社仏閣への参拝を主な目的として山岳地に建設されていた全国各地のケーブルカーや、その他一部の鉄道などは、この時期、戦争遂行とは無関係な不要路線として次々と廃止させられ、敷設されていたレールはほとんどが取り外されて軍需品へと転用されましたが、関門鉄道トンネルは、軍事物資の輸送という目的もあったため、戦争中でも工事は継続され、戦争中に開業を迎えたのでした。
関門鉄道トンネルの開業によって初めて本州と九州が一つに繋がった事から、当時は日本中がこのトンネルの開通に喜び沸きかえったそうです。

上り線の本坑(3,605m)は、戦争末期の昭和19年9月に完成し、これにより関門鉄道トンネルは複線となりました。上り線、下り線共にトンネルの内径は7mで、海底部分は1,140mあります。
関門国道トンネル、関門人道トンネル、新関門トンネルなどはいずれも戦後開通しているため、関門鉄道トンネルは、関門海峡の下を通るそれら海底トンネルの先駆けともなった、日本の土木建設史に於いても記念すべきトンネルといえます。

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上の写真は、昨年10月に群馬県安中市にある鉄道テーマパーク「碓氷峠鉄道文化むら」に行ってきた際に撮影してきた、園内に静態保存されていた、関門トンネルを走る列車の牽引専用機として造られた交直両用電気機関車「EF30」です。
本州と関門鉄道トンネル内の路線は直流1,500V、九州側の路線は交流20,000Vでそれぞれ電化されているため、EF30は交直の切替が車上でできる構造となっており、また、海水による塩害腐食を防ぐため当時としは珍しいステンレス車体が採用されていました。
本州と九州の掛け橋として活躍した機関車でしたが、現在は後継機の「EF81」に置き換えられ、EF30は全機が廃車となっています。

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